【イラスト:スイセンOgata,Sachiko3】

 

 

 

スイセン(ヒガンバナ科)Narcissus tazetta var. chinensis

岩打つ波が激しく砕け散る冬の越前海岸の崖に群生するスイセンは、凜として澄んだ香気をはなち気品に満ちている。福井でやはり絵を描き続ける90 歳の母は、越前水仙を送り届けようかと毎年気遣ってくれる。
早春の陽光のもと大阪の家の庭で咲く様子を描き留めようとしたが、純白の花被、ねじれながら直立する白緑色の葉、どれもシンプルなのに絵にするのは意外に難しく感じた。 これで完成という気持ちをもてないままに筆をおいた。

作者 プロフィール

尾形 幸子 Ogata, Sachiko(大阪府)
子どものころは草花が遊び仲間で、自然のなかでおきるさまざまな現象に心ときめいたものです。小学生のころから書に親しみ、絵を描くことが好きでした。大学では理学部生物学教室で学びました。

1996年に夫が急逝して体調を崩したころに旧友が送ってくれた植物画の作品に出合い、その確かさといきいきとした美しさに新鮮な感動を覚えました。
 直面している現実から少し離れる時間をもとう、集中できる何かにチャレンジしてみようと‘97年からボタニカルアートの手ほどきを受けました。
やがて頼まれるままに指導者の立場になり、植物画教室を主宰、カルチャースクールの講師や、病気や障害をもつ方々とご家族のためのボランティア教室を続けて現在に至っています。 受講生の方々から『植物画は生活の一部になっている、描くことはとても楽しい、支えになっている』などの言葉を聴くのはうれしいことです。
願わくは、雑草園のような我が庭で育っている植物たちを、ゆったりとした時間の流れの中で存分に描いてみたいものです。

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