プロジェクト [ 絶滅危惧植物 ]

いま何故、絶滅なのか

絶滅という言葉から多くの方は、朱鷺(トキ)を思いうかべるのではないでしょうか。しかし、絶滅という言葉を冠せられた野生の生き物が、私たちの身近な所にも沢山いることは、あまり良く知られていません。そして、その多くは朱鷺(トキ)のように話題にもならずに、人知れず消えていこうとしているのです。いったん絶滅してしまった生き物は、“種”としては、二度と復活することはありません。恐竜の絶滅が象徴するように、過去にも多くの生物が生命進化の過程で絶滅していますが、今日の大量絶滅は、その大半が進化の必然とは、全く性質を異にするものなのです。

日本の野生植物6種に1種が絶滅の危機に、さらに...

【イラスト:コウリンカ】
コウリンカ

1989年に、日本自然保護協会から刊行されたレッドデータブック(我が国における保護上重要な植物種の現状)によると、日本の野生植物5300種のうち約900種が、そのような運命にあるとされています。こうした実情に、多くの植物学者や心ある自然愛好家が警鐘を鳴らしてきたにも関わらず、1997年環境庁の植物版レッドリストでは、さらに約1400種と増えてしまいました。

このまま歯止めを掛けないで放置すれば、生命の歴史が始まって以来、かつてなかった大絶滅の時代を迎えることは必至です。

何が植物を絶滅に追いやるのか

野生植物を絶滅に追いやる大きな要因は、ひとつに開発による自生地の悪化、消滅。ふたつには園芸目的の乱獲とされています。またレッドデータブックの調査では、絶滅危惧植物にランクされた種について、両者が原因であるとされるものが、全体の大半を占めていることが明らかになりました。開発行為で特筆される事は、私たちの生活域にある湿地や草地の開発の占める割合が多く、この様な環境を棲み家にしている植物の多くが、軒並みリストに挙げられています。そして園芸目的の乱獲で重大な被害を受けているのが、ラン科の植物と言われ、レッドデータブックでも、数多くの種がリストアップされていますが、全国各地で野生植物の生存を脅かすようなこれらの現状を、私たちは重く受け止めなければなりません。

生命進化と人類は

生き物には長い生命進化の歴史がありますが、その進化の道すじで多種多様な生き物を生み出し、互いに関係しあって暮らしています。この多様性こそが生き物なのです。私たち人間も人類誕生いらい生き物との関係を通して長い間、共存しながら暮らしてきました。このように私たち人間を含む全ての生き物は、かけがえのない地球の住民と言えるのです。私たちも地球の住民である以上、自然の摂理を踏みにじるような暴挙は許されるはずはありません。

加速する絶滅の危機から救うのは

現代を生きる私たちは、地球環境を破壊するほどの経済活動を行い、私たちの暮らしが豊になるほど、自然との結びつきは稀薄になってしまいました。その結果、知らず知らずのうちに多くの生き物を絶滅へと追い込んでいるのです。そして、絶滅の危機が日を追って加速する今日、一刻の猶予も許さない事態を迎えようとしています。私たちは、この事実を自らの澄んだ目でしっかりと見定めて、明日の進むべき道を模索していかなくてはなりません。と同時に、この野生植物を絶滅の危機から救うのは、他ならぬ、今を生きる私たちであるという強い自覚が求められてきています。

このプロジェクトの記事: « 『日本の絶滅危惧植物図譜』レッドデータブックの作成の目的と経緯(資料p2) »

このページの上部へ▲