影千恵子 Kage, Chieko

【影千恵子:イワナシ(ツツジ科)Epigaea asiatica】
イワナシ(ツツジ科)Epigaea asiatica

イワナシは山地の林縁や畑の縁斜面に生える常緑小低木で地面を這って広がり、茎は細くまばらに枝分岐し赤褐色の粗い毛があり、葉は互生で、葉柄は短く、葉の両面に多くの褐色の毛があり、革質で光沢があり、枯れて葉肉がボロボロになっても茎に着いて落ちず、残ります。また葉を冷蔵庫に入れておくと、何か月でも緑色を保っていることに驚かされました。

イワナシの花を描きに、春まだ寒い季節、風のビュンビュン通る畑の斜面に向かって描いていると農家のおばあさんが珍しがって話しかけてこられ「これは小さかった頃、学校帰り道のおやつだった」と言われました。どんな味かと思い、実のなる頃(4月末~5月上旬)1ついただき、食べてみるとイワナシの名の通りナシのシャリとした食感に甘酸っぱい味でおいしく、子供のおいしいおやつになると納得。それにしても今から思えば、なんと豪華なおやつですね。
(第13回 日本植物画倶楽部展図録 企画テーマ部門「日本の固有植物」掲載)

【影千恵子:ミズオオバコ(トチカガミ科) Ottelia alismoides】
ミズオオバコ(トチカガミ科) Ottelia alismoides

水深によって茎・葉の形状は違うが花は水面上に咲く。薄い葉は光によって色が変わり花色も微妙。8月下旬の暑い屋外で描いた。(透明水彩・鉛筆 50.5×36.3cm)

【影千恵子:シキミ(マツブサ科) Illicium anisatum】
シキミ(マツブサ科) Illicium anisatum

(透明水彩 50.0×35.5cm)
2022年8月1日更新

作者 プロフィール

影 千恵子 Kage, Chieko(大阪府)

子供の頃より絵は好きでしたが、入学した大学は化学専攻、8年この分野で働き、考えるところあって再度入学した美大で日本画を専攻、卒業し何年か経って出会ったのがボタニカルアートです。しかし、はじめは余り真剣ではなく、生協活動の方が熱心でした。2000年に当倶楽部の企画で「絶滅危惧植物を描く」に参加した頃より、そろそろエンジンがかかってきました。

また2001年に植物画を愛する仲間で「ボタニカルBOX」をつくり、ほぼ年1回作品展を開催しています。(豊中市民ギャラリー・豊中市民病院ギャラリー・千里中央モノレールギャラリー・その他大阪府立花の文化園のボタニカルアート展・富山県中央植物園「私の植物画展」に出品。)これが活動の元となっています。

これとは別に枚方市内の植物調査をしている「枚方いきもの調査会」に2002年から参加し、ここで植物大好き人間に出会い、里山散策の魅力やら、植物の奥深さに気付かせていただき、以前より少しいろいろの方向から植物を眺めることができるようになり、近年ますます植物の世界に填っています。これから植物の不思議さ・面白さを描けたらいいなと思います。

*科名、学名は作品掲載当時の図録に基づき表記しております。
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