下田佳代子 Misada, Kayoko

【下田佳代子:ギンヨウアカシア(マメ科)Acacia baileyana】
ギンヨウアカシア(マメ科)Acacia baileyana

(透明水彩・鉛筆・紙 44.0×37.0cm)
2023年4月15日更新

作者 プロフィール

下田 佳代子 Misada, Kayoko (栃木県)

子どもの頃から絵が好きで描き続けています。ボタニカルアートとの出会いは1992年です。K先生から手ほどきを受けました。2001年K先生から講座開講を勧められ現在講師をしています。

美術好きが入り口だった私は植物の知識がありませんでした。必要を感じて観察や書物によって少しずつ理解するようになりました。

植物に対する考えが大きく変わったのは植物の書籍の「光合成」の章を読んでからです。たしか中学生の理科で習ったはずでしたが、当時は何の驚きも感動も覚えませんでした。ところが大人になった私は非常に驚き感動したのです。光合成によって植物は有機物つまり炭水化物や糖を生み出します。それは食物連鎖の最も底辺にあり、地球上のいかなる生物も植物なしでは生きていけないという事実です。

水と光と二酸化炭素から有機物と酸素を作り出すという神業は人間の先端科学を駆使してもいまだ不可能なことなのです。そして今世界中で目標に掲げている二酸化炭素削減ですが、植物は地上でも水中でも太古からそれを絶え間なく行っているのです。しかも酸素を供給しながら。

無知だった私は植物を描き始めてやっと植物の恩恵に気づきました。描き方も変わったように思います。初めの頃は見栄えよく描くことに心を砕いていましたが、今は一つ一つの作業をかみしめるように進めています。それは植物に対する心からの尊敬からです。

美しく知的な植物画を描きたい、それが私の目標ですが、魅力ある絵を描けばきっと誰かが目を止めてくれて、そこから植物への関心が広がって植物の大切さを知り、庭やベランダに緑が増えるかもしれません。もう少し広がって公園の緑も増えて、その先にアマゾンの乱開発を止める力があるかもしれません。

ボタニカルアートを描きつつ少しずつ緑の大切さをお伝えして役に立つことができればと、柄にもないことを考えています。

*科名、学名は作品掲載当時の図録に基づき表記しております。
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