矢野裕子 Yano, Yuko

- サクユリ(ユリ科)Lilium auratum var. platyphyllum
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私が初めてサクユリを知ったのは、牧野富太郎博士の植物画展でのことでした。あまりにも素晴らしかった原画の記憶から、原種ユリの中では世界最大という触れ込みのこの球根を園芸店の通販の案内で見つけた時には、即 購入。咲かせてみれば、予想以上の大きさと香りでした。
自生地の伊豆諸島では持ち出しは一切禁止。売られているのはシントシマという利島で選出されたものなのだそうです。
日本の固有植物の取り組みに際して、無謀にもこのユリを選んでしまった私は、自生する姿も見てみたいと島に向かいました。海風の中、すっくと立つ姿は感動ものです。本当は葉は傷だらけ。でも虫など気にせず逞しく、今年も咲いてくれていることでしょう。

- オニユリ(ユリ科)Lilium lancifolium
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いただいた数粒を鉢の隅に埋めた記憶があった。ある年、たくさんの葉をつけた毛むくじゃらのユリらしき芽が、元気に伸び始めた。やがて葉のつけ根に…例のムカゴ!?窮屈になった鉢から植え替える際、球根を描いた。(アクリル 51.8×36.0cm)

- ウケユリ (ユリ科) Lilium ukeyuri
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(アクリル・色鉛筆 53.4×36.0cm)
2020年10月15日更新
作者 プロフィール
矢野 裕子 Yano, Yuko(大阪府)
幼いころ里山や里海に恵まれた環境で育ったせいか、動植物が好きでいつも身近に感じてきました。もう一つ好きだった絵と、どちらかに関係した趣味をいずれ持ちたいと願いつつ、自由な時間を持てる日を待ちました。
植物画はそのどちらをも満足させてくれると思い「見つけた!」と喜んで始めたものの、やがて制作にあたり心得ておくべきことの多さに気づかされました。
描くことよりも観ることや育てることに、植物だけでなく昆虫や鳥たちへと興味は広がり、植物画の歴史を紐解けばこれも面白く、増え続ける楽しみに 時間を費やす一方、一つの植物に何年もこだわり続けたり、画力が追い付けずにあきらめかけたり、なかなか作品として仕上がらないのが悩みです。
なにより、自然に触れ感動する心を大切にしながら、これからもゆっくりゆっくり、
そしてじっくりと描き続けていきたいと思っています。
所 属 : 日本植物画倶楽部・Kobe植物画会
2016年: 第15回ハント国際展 入選・所蔵