【尾形幸子:スイセン(ヒガンバナ科)Narcissus tazetta var. chinensis】

スイセン(ヒガンバナ科)Narcissus tazetta var. chinensis

岩打つ波が激しく砕け散る冬の越前海岸の崖に群生するスイセンは、凜として澄んだ香気をはなち気品に満ちている。福井でやはり絵を描き続ける90 歳の母は、越前水仙を送り届けようかと毎年気遣ってくれる。
早春の陽光のもと大阪の家の庭で咲く様子を描き留めようとしたが、純白の花被、ねじれながら直立する白緑色の葉、どれもシンプルなのに絵にするのは意外に難しく感じた。 これで完成という気持ちをもてないままに筆をおいた。

【尾形幸子:イチゴ (バラ科)Potentilla ananassa】

イチゴ (バラ科)Potentilla ananassa

引越しに伴って新居のポタジェに根をおろし、勢いよく四方にランナーを伸ばして繁茂したイチゴ。花弁数が多い花の実は大きくなる。真赤な実はすべてナメクジに食べられたが、この次は工夫して自分でも味わってみたい。(透明水彩 38.4×32.3cm)


作者 プロフィール

尾形 幸子 Ogata, Sachiko(大阪府)

幼少期、草花はいつも遊び仲間であり、特有の色や匂いが季節の訪れを教えてくれました。
小学生のころから書に親しみ絵を描くことが好きでした。
大学では理学部生物学科植物学専攻。生態学実習での山歩き、植生調査、海浜実習、季節の植物を観察して線画描写した植物形態学実習等々・・フィールドワークや手作業に勤しんだ若いころの時間は今では宝物です。

1996年ごろ、友人からの手紙に添えられた植物画の美しさに心を打たれ、新鮮な驚きを感じました。直面している現実から時々離れる時間をもって、好きなことで少し難しそうなことにチャレンジするのもいいのではないかと考え、1997年から植物画を始めました。当初は単なる趣味のつもりでしたが、その後ご縁があってカルチャースクールの講師になり、神戸市、宝塚市、大阪市、茨木市などの教室で受講生の方々との楽しいお付き合いが続いています。植物画や植物を通してさまざまな出会いをいただけることは有り難いことです。

私自身は主に庭で好きな植物を育てながら描いています。制作は長期間かかってしまうことが多いですが、ひととき土いじりをしたり、植物を眺めるだけでも癒され元気をもらっています。最近(2017年)は、カエデに興味が広がっています。カエデの花は小さく5㎜程度です。実体顕微鏡で観察すると神秘的な造形に驚き、一瞬、時の流れが止まります。そして花との対話が始まります。ゆっくりでも描き留めていければと思います。取材中、カエデの花にミツバチが飛び交い、背後に鶯の声も聞こえます。
こうして自然を味わうことができるのはなんと幸せなことでしょう。

2011年 尾形幸子植物画集 Botanical Art ㏌ my memory を自費出版。

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