典型的な海洋島である小笠原諸島(資料p10)

過去に一度も大陸とつながったことのない隔絶された海洋島では、固有の植物が多くそれらが限られた環境のなかで、極限の安定状態を保っています。そのため外からのわずかな原因であっても、デリケートであるが故に平衡状態がかく乱され易くその結果、多くの種は絶滅の危機に追いやられる事態となります。

入植による森林の伐開が...

大陸からどの方向にも1000km以上離れた大、小180余りの小島で形成される小笠原諸島の自然は、特殊な安定状態に達してしまいました。また無人島であり大型哺乳動物もいないということから、発達した植生が維持されていたようです。しかし、人が住み着いて以来、ご多分に洩れず森林の無秩序な伐採が進み、原生林は完全に破壊されてしまいました。

固有種の145種のうち85種が絶滅の危機に

小笠原諸島の植物の固有種は全て、漂流や飛来など何らかの方法で偶然島にたどりつき、独自の種分化をとげたものです。

小笠原諸島の全456種のうち、固有種は145種あり、そのうち85種が絶滅の危機に瀕しています。(1989年レッドデータブックより)

【イラスト:チクリンカ】
チクリンカ(ショウガ科)
常緑多年草。土壌が深い湿性化したギンネム林にゲツトウと混生して群落をつくる。
小笠原固有種。
【イラスト:ムニンノボタン】
ムニンノボタン(ノボタン科)
父島内陸部の日照が少しさえぎられるような所に生え、地下水位の高い所を好むようである。
小笠原諸島父島にのみ分布。
【イラスト:ハハジマトベラ】
ハハジマトベラ(トベラ科)
常緑の低木。高さ2〜3m。葉は互生で狭倒卵形。長さ4〜8cm。花は散状に2(または1)個つく。朔果は黒褐色に熟し、円形。
小笠原固有種。
【イラスト:ホシツルラン】
ホシツルラン(ラン科)
常緑樹林に生育する多年草。夏に50cmほどの花茎を伸ばし、その先端に白い花を多数つける。
小笠原諸島母島にのみ分布。

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