開発による水辺植物の危機[2](資料p5)

平地の水辺の自然が危ない

近年、都市周辺の開発にともなう湿地の埋め立てや池沼の護岸工事と改修工事、水質汚濁などで急激な悪化をたどる平地の水辺環境に、多くの絶滅危惧植物が集中していることが明らかになりました。

【イラスト】:
水辺の移行帯の植生と水生植物の生活型

池沼や湿地、川辺といった水辺の植物の生育環境には水深に応じて生活型の異なる植物が棲み分けています。水深の深い所から浅瀬にかけて沈水植物、浮葉植物、抽水植物が時には大群落をつくり、これらの間に浮遊植物が見られるのが特徴です。岸辺近くの湿地では湿生植物が生育し、さらに地下水位が低い所にヤナギやハンノキなどの湿生林が発達しています。

「池沼」に生育する植物

池沼は停滞水のある窪地で、水面に葉を広げる浮葉植物や水中の水草が生育しています。低地では栄養の条件でしばしば特定の水草が繁茂することがあります。

オニバス、ガシャモク、ミズニラ、ヒメコウホネ、ムジナモ、オグラコウホネなど。

【イラスト:ガシャモク】
ガシャモク(ヒルムシロ科)
沈水生の多年草。ササバモに似ていて、葉はすべて沈水葉で、葉身は狭披針形。
池沼開発、水質汚濁。
【イラスト:オニバス】
オニバス(スイセン科)
池や沼に生える1年草。ときには2mをこえるような大きな水上葉をつける。堀や農業用の溜め池のような人工的な池にもよく生える。
池沼開発、水質汚濁、土地造成。
【イラスト:ミズニラ】
ミズニラ(ミズニラ料)
沼、池、川の底やまれに湿地にも生じるやわらかい夏緑性水生シダ。塊茎は径2〜3cm、浅く3分する。
池沼開発、土地造成。
【イラスト:ヒメコウホネ】
ヒメコウホネ(スイレン科)
浅い池や沼に生える多年草。全体に小型で、水上葉は広卵形、長さ6〜10cm。花は黄色、径3〜4cm、花期は6〜9月。
水質汚濁、河川開発、池沼開発。

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