乱獲と乱開発の中で消えゆく日本の野生植物(資料p3)
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野生生物の保全の難しさ
現在、各分野の生物学者や自然保護団体が、野生生物の保全のために多大な努力を傾けていますが、絶滅から救う方策は決して容易ではないようです。
マツバラン
というのは、開発によって破壊された自生地は、特定の種だけを保護するのではなく、その種をとりまく生育環境の復元が重要になってきますが、生態系や植生に関する十分な理解なしに生育環境の修復は不可能とされ、現在でもその生態を十分に理解している植物は非常に少ないのです。それだけに、無謀な開発は極力避けなければならないのですが、目先の経済利益のために野生生物の生存を、全く無視するような開発が横行している状況です。
ひとり、ひとりが絶滅の現状を正しく知ることから
ヒメヒゴタイ
しかし、直ぐ実行に移せる方策もあるはずです。何よりも絶滅危惧種の現状をひとり、ひとりが正しく知ることが、多くの野生植物を救う道へとつながっていきます。それらの理解の深まりが、住民の意識を高め、しいては貴重な自生地の破壊につながる無謀な開発を阻止する力ともなりましょう。また、現状では野草栽培を愛好している人々により、山野草店で買われた植物が、実は山採りものであり、結果的に、乱獲、絶滅への道に荷担してしまうといった矛盾が生じることが多々あります。しかし、この場合でも野生植物の危機的情況を知り、認識を深め、業者に働きかけるといった方法で、乱獲をまねく山採りの植物の商取引をなくしていくことも可能と言えるでしょう。いずれにせよ、現状は一般に考えられている以上に深刻な状態と言えます。消えゆく日本の野生植物の現状を正しく理解することは、絶滅から救う第一歩であると思います。